アキバガレージ

プロが解説!電波妨害機の真実

プロが解説!電波妨害機の真実

現代において電波は欠かせない存在です。スマホやパソコンのインターネット通信だけでなく、テレビ、ラジオ、GPS、無線機、電子レンジ・・・ありとあらゆる電子機器が電波を利用することで我々の生活を豊かにしています。しかし電波は便利なだけではなく、コンサート中のスマホの使用や、盗聴盗撮などの嫌がらせに使われることもあります。

そこで最近知られ始めているのが電波妨害機、電波ジャマーです。電波に関するお悩みをお持ちの方は一度は聞いたことがあるかもしれない単語ですが、実際は何に使うものなのか、簡単に手に入るものなのかなど、細かいことまでは知られていません。
そこで今回は過去に電波ジャマーを扱ったことがある当店が、電波ジャマーについて徹底解説します。

index

電波妨害機(ジャマー)って、なに?
どんな用途に使われる?
ジャマーの使用は違法?
通販でジャマーが売っている?
ジャマーは買わない方が良い!
ジャマーを使わずに解決する
まとめ

電波妨害機(ジャマー)って、なに?

電波妨害機、電波ジャマーとは、正式名称を通信機能抑止装置と言います。スマートフォンや、GPS、Wi-Fiルーター、パソコンなどの電子機器の電波をジャミング(妨害、遮断)して、それらの電子機器で通信を伴う機能を使用不能にする機械です。
仕組みとしては、ジャマーが電子機器と同じ周波数と同じ電波を発することで、本来受信するはだった電子機器の電波が受信できなくなるという仕組みです。

どんな用途に使われる?

今や日本のみならず、世界中で電波のない、電子機器のない場所はほとんどありません。スマホを筆頭にあらゆる電子機器を使いこなし、電波で通信します。それ自体は良いことですが、反面悪いこともあります。それは本来使われてはいけない場所で電子機器を使われてしまうことです。
本来使われてはいけない場所の例としては、会社、試験会場、病院、コンサート会場などがあります。そういった場所でジャマーを使うことで電子機器の通信を強制的に遮断して利用を制限することで、マナーを向上することができます。

また、無断で仕掛けられたGPSや盗撮カメラ、盗聴器等の電波を遮断して使用不能にしたり、嫌がらせやストーカーから身を守る用途にも使いたいと思う方もいらっしゃいます。しかし実際はそうした場面で使用できるのかを次項で解説します。

ジャマーの使用は違法?

巷では電波妨害機、電波ジャマーは知名度も需要も高い商品ですが、実は電波法という法律で厳しく規制されているものということをご存じの方はあまりいません。
ジャマー(通信機能抑止装置)は電波法 第4条で総務大臣の免許を受けなければ使用できないことが定められています。また、その免許を受けるには、コンサート会場、無線従事者が配備されている場合などの条件をクリアしなければならないため、現時点で個人が合法内で使用することは非常に困難です。
免許なしでジャマーを使用した場合は法律違反になります。1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる場合があります。

通販でジャマーが売っている?

個人で使用するには難しいはずなのに、通販でジャマーを取り扱っている店を見かけます。なぜ取り扱えるのかというと、それは取り扱っているジャマーの妨害電波が弱いためです。電波法では微弱な電波を発射する無線機、ジャマーは禁止されていません。じゃあそれを使おうと思う方もいらっしゃいますが、弱い電波しか出ないジャマーは言葉の通り弱いため、しっかり電波を遮断することができません。実際に総務省のホームページでもこうした電波が弱いジャマーに関する注意が書かれており、買っても期待外れになりやすい商品です。
また、外国対応の商品で使用できない、説明書が外国語だった、そもそも商品が届かなかったなどのトラブルも考えられます。

上記で解説した通り、ジャマーは電波法によって厳しく規制されているため、個人で入手できる範囲でしっかりと電波を遮断することができる商品はほとんど流通していません。もしあるとすれば、規制や法律をかいくぐった危険な店・商品の可能性がありますので、ジャマーが売っているからと言って安易に手を出すべきではありません。

ジャマーは買わない方が良い!

ジャマーを使うにあたっては他にも下記のようなトラブルが起きるリスクがあります。このようなリスクも考えると、ジャマーは個人の手に負えるものではないと言えます。

近隣住民とのトラブルになりやすい

ジャマーは特定の機器の電波のみを遮断することはできません。具体的に言うと、嫌がらせをしている人のパソコンだけを狙って電波を遮断することができないということです。
同じ種類の電波(スマホの電波、Wi-Fiの電波など)であればジャマーの範囲内にある別の機器も強制的に電波が妨害され、通信不能になります。もちろん自分の電子機器も通信ができなくなります。
現代ではもはや電波のない生活は考えられません。もし、自分がジャマーを使うことで近隣住民の電子機器が使えなくなったら・・・良かれと思ってやっていても自分が加害者になり、トラブルは避けられないでしょう。訴訟などの大ごとになる可能性すらあります。
また、防犯カメラの設置などは生活への影響が少ないので許可を得やすいですが、電子機器がほぼ使えなくなってしまう電波の遮断はどんな理由であろうと許可を得にくいのも大きなネックです。

根本的な問題は解決できない

コンサートや公共施設、会社などの使用であれば電波を遮断することでルールやマナーが守られる効果が期待できますが、個人で使用する場合はそうではありません。個人の場合、多くのケースで嫌がらせや盗聴、盗撮の被害に遭っているために電波を遮断したいという目的になります。ジャマーで電波を遮断すれば被害が抑えられるかもしれません。しかし、その大元の犯人に嫌がらせをやめさせるなどの解決には至りません。一見、電波を遮断できれば解決すると思いますが、こういったケースでは、また別の嫌がらせをしてくることが大半です。
そうなってしまうとせっかくジャマーを使ってもいたちごっこになってしまい、まったく意味がありません。ジャマーで一時的に解決するよりも、根本を解決するのが安心への近道です。

ジャマーを使わずに解決する

ここまでジャマーを個人で使うべきではない理由を挙げましたが、だからと言って何も対策ができないわけではありません。ここからは個人、特に嫌がらせや盗聴、盗撮をされている方がジャマーを使わずに対処できる方法を解説します。

盗聴発見器、盗撮発見器使用する

盗聴、盗撮にお悩みであればその元である盗聴器や盗撮カメラを見つけ出すのがおすすめです。ジャマーの使用は免許がなければ違法になりますが、盗聴発見器、盗撮発見器は個人で免許がなくても合法で使用できる商品です。
値段は手軽なものから本格的なプロ仕様の商品まであるため、気軽に調査することができます。
ジャマーで電波を遮断しても、盗聴器や盗撮カメラが仕掛けられている状態で過ごすのは非常に危険です。これらを見つけることができればその証拠で警察が操作に乗り出す可能性があるため、大元である犯人特定や事件の解決に繋がりやすくなります。

▼盗聴発見器、盗撮発見器の一例

盗聴妨害機を使う

電波遮断はできなくても、どうしても「遮断」「妨害」にこだわりたい場合は、盗聴妨害機を使いましょう。盗聴妨害機はノイズを発生・拡散させる事によって盗聴を妨害する商品です。
盗聴妨害機はその仕組みから電波を使用して盗聴する発信器型の盗聴器だけでなく、ICレコーダーやコンクリートマイクなどの非電波式の盗聴器にも対応することができます。

▼盗聴妨害機の一例

弁護士・警察などに相談する

嫌がらせなどにお困りの場合は弁護士や警察に相談するのもひとつの手段です。ただし、基本的に弁護士も警察も証拠がなければ本格的に動くことができませんので、まず証拠を求められることが多いです。その場合は小型カメラやICレコーダーで証拠を集めたり、証拠調査専門の探偵に相談・依頼をすると良いでしょう。
まだそこまで大ごとにしたくない場合は管理会社(賃貸の場合)や自治体への相談にとどめておき、解決できない場合は弁護士・警察に相談しましょう。

▼ICレコーダー、小型カメラの一例

引っ越し

最終手段ですが、嫌がらせや盗聴、盗撮から逃れるために引っ越しも手段として検討しましょう。さすがに引っ越しは・・・となるかもしれませんが、できるだけ早く相手から離れるのが一番の解決策です。
一軒家にお住まいの方は特に難しいかもしれませんが、日常生活に支障をきたすほどにお悩みの方は自分の心と体を守るためには十分に考えられる手段です。

まとめ

以前、アキバガレージでも電波ジャマーを販売していましたが、現在はジャマーを個人で使用するデメリットが大きいため販売を終了しました。販売を終了した現在でもいまだに当店への在庫のお問い合わせがあり、ジャマーの需要の高さが伺えます。
つい「電波を遮断すればなんとかなりそう」と思ってしまいますが、少し立ち止まって考えてみてください。電波の遮断はあなたが違法行為をしたり、近隣トラブルになるリスクを抱えたり、とても電波を遮断できない弱いジャマーを入手してまでやるべきことでしょうか?
合法かつトラブルを起こさずにできる別の問題解決方法はどこかにあるはずです。
ぜひとも今回の解説を参考にしていただき、ジャマーが本当にあなたに必要かをお考えください。